住宅ローンの諸費用は金融機関によって金額が異なる
新居を購入する際には、土地や家屋以外にも登録免許税や不動産取得税、登記手数料などの諸費用がかかります。それと同様に住宅ローンにも、毎月支払う金利以外にも保証料や事務手数料などの諸費用がかかります。
民間融資の住宅ローンの諸費用
まず、民間融資を受ける場合、多くのケースで融資が受けられる人の条件として「保証会社の保証が得られる人」という要件を上げています。
現在、住宅ローンを組む場合には連帯保証人は必要ありません。その代り、保証会社からの保証を要求しています。
保証を受けるための保証料は、万一借主の側に何らかの事情があって半年以上住宅ローンの支払いが滞ってしまった場合、保証会社が借主に代って債務を支払うことを保証する費用です。
この費用は借入金額と返済期間によって決められています。借入金額が多くなればなるほど、返済期限が長くなればなるほど、保証料は高額になります。取り扱う金融機関によって保証料は変わって来ますので、個別に問い合わせをする必要があります。
例をあげれば、借入金1000万円を30年間で返済する場合の保証料は約20万円前後のようです。2000万円を借り入れるとその2倍、3000万円を借り入れるとその3倍の保証料がかかると予想できます。
借り入れる金額や返済期間によっては、かなりバカにならない額になります。この保証料はローンの借入時に一括で支払うことが多いようです。
金融機関によっては、最近はこの保証料を金利に上乗せし、保証料そのものを要求しない金融機関も登場しています。ただでさえお金のかかる時期に、まとまったお金を用意しなくてすむのは嬉しいことです。
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他にも団体信用生命保険料(団信)にも加入するような条件も付いてきます。
これは債務者が病気や事故で死亡したりある程度重い障害を持った場合に、それ以後のローンの支払いが不可能となりますので、それに備えての保険加入となります。
民間融資の場合はほとんど強制的に加入することになります。保険料は金利に上乗せされていることが多いため、個別に保険料を支払うことは少ないようです。また火災保険も強制的に加入することとなります。
他にも諸費用はかかります。住宅ローンを申し込む際に、資金を借り入れる金融機関(都市銀行や地方銀行など)に支払う手数料が事務手数料です。
この手数料は各金融機関によって違いますが、メガバンクの場合は、3万円に消費税や5万円に消費税、というパターンが多いようです。どんなに高額な手数料でも10万円を超える金融機関はほとんどないようですが、保証料が無料のネット銀行の住宅ローンの場合、元金×2.16%の事務手数料がかかるサービスも増えています。
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また他に必要な諸費用としては、契約時の売買契約書、ローンを組む際に必要となる金銭消費賃貸契約書に貼り付けるための印紙代がかかります。これも新居の購入費によって変わってきます。この印紙代は各金融機関で何万円も変わる事はありません。
そして抵当権を設定するための登録免許税や所有権の登録免許税などがかかります。これらの費用も各金融機関で変わることはありません。
他にも抵当権を設定するための司法書士への報酬なども発生します。司法書士への報酬は各司法書士で変わってきますので、一律の費用ではありません。6~8万円程度の間で幅があります。
もし銀行から提示された諸費用で納得が出来ない項目や金額があればすぐに担当者に問い合わせてみましょう。大きな数字を間の前にすると人間は細かい数字をおろそかにしがちです。けれども細かい部分でもカットできる部分はカットしましょう。各金融機関で差がつく保証料や事務手数料の部分はしっかりとチェックしておきましょう。
民間融資・フラット35の住宅ローンの諸費用
民間融資でありながら最長35年の長期返済に対応するフラット35。一般的な住宅ローンとは諸費用のかかり方が違ってきます。
まず一番大きい点は金融機関の住宅ローンの場合、かならず条件としてついてくる「保証会社の保証が受けられる人」という要件がありません。
このフラット35の場合、保証料は必要ありませんし、連帯保証人も必要ありません。これにより保証料がゼロとなりますので、諸費用のうちの保証料を浮かせることができます。
民間金融機関でも保証料を無料にしようという動きが出ていますが、まだまだ一般的ではありません。2016年時点では、ほとんどのネット銀行が保証料無料のサービスを開始しています。
ですから保証料が一切かからない事は、借り手にとって大変嬉しいことです。ただし、金融機関では高くても10万円程度の融資手数料(事務手数料)が、フラット35の場合、借入額によってはまとまった額になることがあります。
融資手数料が借入額の1.05%から2.1%と物件によって定率で計算する金融機関があります。
1000万円の融資を受けるための事務手数料は最大で21万円となり、民間金融機関の保証料とほとんど差がなくなります。そうかと思うと融資手数料が3~5万円の設定にされている金融機関もあり、かなりの開きがあります。
高い融資手数料は非常に痛いのですが、この手数料と引き換えに低い金利で融資が受けられるので仕方のない部分です。
それから民間金融機関では必要はありませんが、フラット35では必要となるのが物件検査手数料です。フラット35で融資が受けられる物件は、一定の技術基準に適合した質の良い物件に限られます。そのため、物件が一定の品質に適合しているかどうかの検査手数料が別途発生します。
物件の内容によって検査料は変わってきますが、新築物件で2~3万円、中古住宅は4~6万円程度の目安にすれば良いでしょう。
また、印紙税や登録免許税(借入金額の0.4%)、司法書士への報酬も必要になります。
また民間の金融機関では強制加入であった団体信用生命保険への加入は任意です。生命保険料は3000万円以上の借入金で10万円以上の保険料が必要となりますので、少しでも費用を浮かせたい場合は加入しないという選択肢もあります。
けれども長期に渡って返済し続けるローンですから、途中で何が起こるかわかりません。もしもの時のためにも是非加入しておきましょう。
また、健康上の理由で団体信用生命保険に加入出来ない人は団信の加入が絶対条件ではない、このフラット35がおすすめです。なお、火災保険は強制的に加入となります。
公的融資・財形住宅融資の住宅ローンの諸費用
財形住宅融資の場合の諸費用は他の融資に比べて、かなり有利になっています。
まず融資手数料や抵当権設定登録免許税は無料となっており、この部分だけでも他の金融機関との諸費用とはかなり差がつくと思います。
保証料もフラット35同様不要となっており、結果的に必要となるのは印紙税、団体信用生命保険への加入料、火災保険の保険料、司法書士への報酬となります。必要に応じて地震保険への加入も行えばより安全です。
まとめ
世の中には様々な住宅ローンがありますが、それらの住宅ローンにはそれぞれの諸費用があり、その金額も必ずしも全国一律で一本化されていません。
各金融機関の特徴やアピールしたいポイントによって諸費用を部分的にカットしたり、金利に上乗せして初期費用を抑えたりで借り手の負担にならない住宅ローンとなるように工夫されたものもあります。
また、住宅ローン借り換えの場合の諸費用はこちらのページを参照ください。 >> 住宅ローンの借り換えにかかる諸費用
金利だけでなくトータルの経費まで合算させて考えると、意外な盲点が見えてくるかもしれません。